30代女性がただの日々のことを書くブログ

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清水潔「桶川ストーカー殺人事件」・・・私自身のストーカーの思い出

記者の知人に半年前にもらっていた本を、ようやく開く事とした。

知人記者は勉強になるから、とノンフィクションのその本を読んでいた。

 

 

一緒に旅行に行った友人が、先に読んで「面白い」と言っていた。

ノンフィクションなので面白いというのはとても不謹慎だと思うんだけど。

 

桶川ストーカー殺人事件、被害者女性は1〜2歳下で、

もちろん当時の報道で注目していたけど、

再度思い出す事となったのは、数年前知人に

「実は、あの被害者の子と大学で友達だった」と告白を受けたときだった。

 

そのことがあったので、知人の記者が「その本を読む?あげるよ」と言ったとき

すかさず、何かの縁かもしれない、ともらっていた。

 

今回読むとき改めて本についての紹介部分・概要を読んだ。

なるほど「記者の教科書」と言われているんですね。

そして、事件の概要、、、忘れていたけど

そういえばそうだったと少しずつ思い出してきた。

・上尾署、警察の不祥事

・この事件からストーカー規制法 制定のきかっけになったこと

・捕まったのは兄の方

などなど

読みながら、同時にいろいろな視点を持たされた。

被害者やその家族になるうる(なりえた)自分としての視点。ひどい、解決してほしい、二度とおこらないで欲しい、守ってほしい、警察はなにしてるんだ、というような・・・
それから、1つのものがたりを読んでいる、読者として、この先どうなったんだろう?実際は詳細はどうだったんだろう?という好奇心を持つ視点。実際、「何かの力で動かされているようなことが多かった」といった記述があるが、ドラマのような展開が数々おこっていた。

それから、清水さんの仕事ぶりが詳細に記されていることで「ベテラン記者の仕事ってこういう感じなのか」ということがよくわかる。本当に記述が細かい。よくここまで記録していたと思う。
この小説は、この小説がすごいのではなく、清水さんの記者としてのプロの仕事がすごい、ということなんだ、と思った。もちろん、記者の仕事に限らず、共通して学ぶべきところもたくさんある。情報が欲しければ自分から渡す。情報を先に渡す事は相手を信頼していることとなり、信頼している事を示す事が信頼を得る事につながる。

ただし、本としてすばらしいのは、やはり清水さんの感情が「悔しい」というような思いのようなところで感情的な表現も交えているからだろう。仕事ぶりは着実、でも、熱はある。

そして、私自身FOCUSという雑誌の一面しか記憶していなかったような気がして恥ずかしくなった。やはり偏見はよくない。

1つ1つの記事ごとに、見抜ける目を持ちたい。

 

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実は、わたしも当時ストーキング被害を受けていた。

この件と比べるとひどく軽度で、電話が何度もくるというものだった。

話す事もあれば無言のこともあった。

 

本を読んで気づいたが、実は桶川事件と同じ年だった。

当時すんでいた神奈川県の保土ヶ谷警察署に被害届を出しにいった。そこではひどい対応というほどではなかったが、現時点ではまだ警察が動けないから今後何をされたか明確に残しておく事などのアドバイスを受け、何かあったときのたまに防犯ブザーをもらう、という程度だった気がする。


ストーカー規制法ができた後だったのか前だったのか、記憶が不確かなのが残念だが、いずれにしてもその時点で相手すら特定できてなかったから、何もできなかった。

最初に事情がわからず会話してしまった電話以降、基本的には電話は無視するようにしていたが、ある日電話に出て会話をした。「だれなのか、なぜこんなことをするのか」ということを追及することにした。

素性は聞けなかったが私の事ばかり考えてしまうという、最後に彼に「私はかげでしかできない人は嫌いだ。こんなことしないで、単刀直入に直接言ってきたらどうなの?」と言って電話を切った。

 

その翌日大学の帰り道で同年代かと思われる男性に声をかけられた。
「お友達になってもらえませんか?」

彼のたたずまい含め、明らかにおかしい!
タイミングがおかしすぎる。
「すみません」といいながら頭は真っ白。

ともかくその場からすぐに去り、彼の姿が見えない事を確認するとすぐ保土ヶ谷警察署に電話した。

「先日相談したものですが、いまストーカーらしき人に声をかけられました!」と。

 

警察がかけつけてくれ、話を聞かれたあと家まで車で送ってくれた。

今考えても100%本人だった確証はないんだけど。。。

車で「どういう人か」と聞かれたとき「いけめんだった」と言ったら「じゃあ、つきあえばいいじゃないか」という笑われた。いけめんという言葉を使ったのが軽率だったが、不謹慎なことを言うものだと思った。それでも、犯人かどうかもわからないのに、かけつけてくれ、送ってもらえただけで、本当に心強かった。

 

それでも、確か1年近くはストーカーの電話に悩まされた。

家は知っていると言ってくる。階も当てられていた。

毎日帰宅時、ドアをあけるとき、後ろに人がいないか、気にしていた。

電話がなるたび、びくっとするようになった。

うかつにカーテンもあけられなくなった。

 

卒業・就職のタイミングで電話がこなくなった。

やはり大学同級生で、どこか別の土地に就職したのではないかと予想している。

 

ただ、トラウマは残った。

いまでも帰り道、後ろがきになるし、無言電話をとったとき「彼だ!」と思って、

叫んで受話器を手からふりほどいてしまったこともある。

実際は1回だけのコールだったので間違いだったのだと思う。

 

電話だけでその恐怖。私は危害を与えるとも言われていない。

被害者の、詩織さんの恐怖は計り知れません。

ご冥福をお祈りします。